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家族信託編

Q 真紀さん(52歳) は結婚後、お母さん(79歳)とは別に暮らしています。一人暮らしのお母さんのところには、コロナによる自粛で、訪れない日々が続いていました。ある日、お母さんから電話があり、「銀行のカードの暗証番号がわからなくなった」と言われました。そこで、印鑑と通帳を持って、一緒に銀行に聞きに行くことにしました。真紀さんが、銀行でひとしきり説明すると、行員がお母さんに今日の日付や干支を聞いて来ました。お母さんがまごまごしていると、「後見人をつけないと、お金は下せません。」と言われてしまいました。真紀さんは、こんなこともあろうかと持参した戸籍抄本を自信満々に示し「私は娘です。」と言いました。さて、真紀さんは無事お金をおろせたでしょうか?


A その日、真紀さんはお金は下すことはできませんでした。 なぜなら、銀行でお金をおろすという行為は、銀行とその貯金通帳の名義人との間の法律行為なのです。難しい言葉でいうと、銀行にお金を預ける行為は消費預託契約であり、お金をおろす行為は、その預託したお金の返還行為です。そして、民法は、意思能力がない状態での、法律行為は無効であると書かれており、認知症と判断されてしまうと、意思能力がないということになってしまうのです。

では、真紀さんは、今後、お母さんのお金をおろしてあげるには、どのようなことができるのでしょうか? まず1つ目は、2020年3月11日付の日本経済新聞に、以下の記事が掲載されました。 「認知症患者の預金を家族が引き出しやすくなるよう、全国銀行協会は3月中にも各銀行に通達をだす。戸籍抄本などで家族関係が証明され、施設や医療機関の請求書で使途が確認できれば口座からお金を引き出せるよう業界統一の対応を促す。高齢化で認知症患者の金融資産が増えるなか、銀行業界は預金の安全性保護と顧客の利便性向上との両立を探る。」なので、各銀行でその対応をしているのか聞く方法があります。
次に、病院代や施設費用以外は法定後見人をつけるという方法があります。これは、国の制度で、裁判所に後見人を選任してもらいます。7割は弁護士や司法書士から選任され、後見人には、安くない報酬を払わなければならなくなります。

以上のように、認知症と判断されてしまうと、お金をおろすことが、非常にハードルの高いものとなってしまいます。 そうなる前の軽度の段階で、対策をしておく事が非常に重要なのです。 緊急事態宣言解除から、2か月が経過し、自粛中は新型コロナウイルスの感染を予防するため、離れて暮らす親御さんに会うことができなかったり、高齢者施設や病院に入所・入院している親御さんへの面会が禁止となって、会いに行けなかったりした方も多かったようです。  そのためか久しぶりに会った親御さんの物忘れがひどくなって、認知症の始まり?との心配や、様々な手口の詐欺に巻き込まれてしまうのでは?との心配をしている方もいらっしゃるのではないでしょうか。

 対策としては、つぎのようなことが考えられます。
①親本人に定期預金の解約など、将来考えうる契約内容の変更を予めしておいてもらい、キャッシュカードの在りかと暗証番号を教えておいてもらうことでしょう。
しかし、この方法だと、キャッシュカードの紛失や磁気不良のような場合には、親本人が直接銀行とやり取りする必要があるため、認知症が進んだ後にリスクが残ることがあります。 兄弟間で1人だけがキャッシュカードを持つことで後々争いの原因にならないとも限りません。
②代理人カード(家族が持つことのできるキャッシュカード。複数枚作成できることも多い)を作っておくのもよいでしょう。
ただし、こちらも家族ができるのは出金のみであり、親本人が認知症になった時に使用することを想定していない為、やはりカードの紛失・磁気不良の問題など認知症が進んだ後にリスクは残ります。
③また、銀行によっては、「代理人指名」のシステムがあり、本人の判断能力のあるうちに出金の代理人をあらかじめ指名しておき、指名された家族は本人の判断能力低下後も窓口で出金ができるシステムを作っています(出金限度額あり)。
判断能力の低下後も、堂々と出金ができる制度なので、検討するのもよいでしょう。
④任意後見制度を利用する
まだ判断能力があるうちに、将来認知症などで判断能力が著しく低下した時に備えて、信頼できる家族(任意後見人となる人)との間で、財産の管理や身上監護をしてもらえるよう予め契約を結んでおく制度です。
⑤最後に、最近注目を浴びているのが「家族信託」です。
家族信託とは、親御さんの資産(銀行預金だけではなく、不動産や株式等も可能)を家族の誰かに移転させ(形式的に移転させるだけで、贈与とは全然違います)、親御さんが将来安心して生活できるようにするため、その家族に管理をしてもらう制度です。
家族が管理するので、後見人と違い、親御さんの本当の意思にそって、お金をおろすことができます。管理のための報酬もいりません。

家族信託契約をご両親・ご家族の誰かと結ぶことだけで、上記の銀行への対策だけでなく、例えば、ご両親が施設入居になり、ご両親の自宅を売却するということも家族ができるようになります。また、遺言の代用としての機能もあります。その他にも、前妻(前夫)との間に子どもがいる場合は、相続発生の際にトラブルになる可能性が高いので家族信託を使って争いになるのを予防することもできます。これらだけでなく、その家族家族に合ったスキームをつくることが可能です。
今ある制度の中では、最も有用であると考えられるでしょう。




Q 晋三さん(59歳)の父(82歳)がボケ始めてきました。ボケてしまうと、家族信託をするのは手遅れですか?


A 認知症と言っても症状は人それぞれです。要は、ご本人の意思がしっかり表現できるかどうかです。たとえ、口がきけなくても、文字で書くことができる、首を振って意思を伝える等できれば、ほとんどの場合、可能です。

私の場合、まず、お会いして、決めます。




Q 家族信託は費用がかかると聞きました。どのくらいかかるのですか?


A その事務所により費用は異なります。(当事務所では下記で費用設定しています)
たしかに、安い金額ではありませんが、認知症等が進んで、法定後見人がつくことになると、毎月後見人に安くない報酬を払わなければなりません。家族信託は一度作ってしまえば、その後に費用はほとんどかかりません。長い目でみれば、賢い選択となるでしょう。




Q 家族信託は遺言の機能もあると聞きました。遺言を今すぐ書かなければなるのでしょうか?


A 家族信託の契約書には、一般的には、信託財産(預かったお金)の最終的な帰属を記載することとなるので、そのように言われます。しかし、後で述べますが、信託財産は自由に決められるので、土地と家だけを信託することもできるのです。そうすると、その土地と家については、預けた人(委託者)が亡くなった後、誰に帰属するか(残余財産受益者または帰属権利者)は記載しますが、その他、家族信託契約書に書いていない財産は、今すぐ決める必要はないのです。また、契約書では法定相続割合で分割すると、記載することが多いです。このように、記載された場合には、被相続人が亡くなったあと、相続人同士で遺産分割協議することもできます。
また、契約書になんら帰属についての記載がない場合、または帰属権利者が権利を放棄した場合には預けた人が帰属権利者となります。(信託法182条2項)なので、その後は通常の相続になります。




Q ドル建て保険を信託したいのですが、今、不利なので、円に換えたくありません。後日円に換えて信託できますか?


A ドルのまま信託して有利な時に預かった人(受託者)が円に換える旨を契約書に記載することをお勧めします。信託財産は後から増やす(追加信託)こともできますので、あとから円に換えて信託もできますが、その時点で意思能力が亡くなっていたら、手続きができなくなってしまいます。

















































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